株式会社 穴水ホールディングス

200年目を見据えて ~くらしを繋ぐ みらいへ繋ぐ~

創業150周年を迎えて

株式会社穴水ホールディングス 代表取締役社長 穴水 健治

当社グループは本年6月をもちまして満150 周年を迎えることになりました。1872 年(明治5年)に山梨県甲府市で初代穴水嘉三郎が泉屋嘉三郎商店を始めたことに遡ります。以来、戦禍や自然災害、経済危機など幾多の困難や試練を乗り越え、150 余年の永きにわたり事業を続けてこられましたのも、ひとえにお得意先様や仕入先様、関係の皆様の多大なるご支援とご厚情の賜物と心より感謝申し上げます。今日まで当社を支え、築いてきてくれた先人たちの苦労に深く敬意を表するとともに現在の役職員の努力、熱意に深謝申し上げる次第です。

創業当初は植物油、塩、米など生活に身近なモノを取り扱う商店として開業し、近代化が急速に進むなかで昭和初期には東京・神奈川方面へ進出を果たしました。その後、日本経済の発展とともに石油製品や業務用食材、衛生商品などを取り扱う専門商社として首都圏を中心に販路を広げてまいりました。お陰様で今日まで業績も概ね順調に推移し、健全な経営を維持しております。

21 世紀に入り、国内外の構造変化や取り巻く経営の変化に伴い、より迅速に効率的にグループの総合力を結集することを目的に平成23 年に持株会社を発足し、その傘下に事業会社を置くことで、地域別分社経営からグループ一体型の経営体制に移行致しました。各事業会社は創業以来の理念である「お客様・地域社会のお役に立てる企業」を踏襲し、本業に徹しながらお客様から選ばれ支持される企業つくりに取り組んでおります。一方、事業を束ねる持株会社は「社員のやりがいや幸福の実現」を理念とし、社員一人ひとりがイキイキと働ける職場環境の整備に努め、“企業は人なり”を基本姿勢とした企業つくりに取り組んでおります。

今、時代は大きな転換期を迎えておりますが、先代から受け継いだ“先義後利”の精神を大切にしながら、社会課題にもしっかり向き合い、社会と共に持続可能な成長ができる企業を目指してまいります。次の200 年に向けて、今一度当社の存在意義を見つめなおし、真にお客様・地域社会のお役に立てるようグループ一丸となって邁進してまいります。今後も一層のお引き立て、ご鞭撻、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

令和4年1月
株式会社穴水ホールディングス 
代表取締役社長

穴水 健治

歴代の経営者たち

穴水 嘉三郎
創業者穴水 嘉三郎(店主在任期間:37年間 1872年~1909年)
1850年(嘉永3年) 12月28日 穴水宇右衛門の次男として、山梨県中巨摩郡田之岡村(現:南アルプス市高砂)に生まれる。
1872年(明治5年) 1月 22歳の時に、甲府市金手町(現:城東一丁目)に「泉屋嘉三郎商店」を創業して、酒・米・塩・植物油の販売事業を始め、後に質店事業も併せて行う。
1890年(明治23年) 5月28日 甲府市の市会議員を務める。
1909年(明治42年) 2月21日 甲府市金手町の泉屋嘉三郎商店店主であり、更に市会議員での在職中に死去。(享年59 歳)
1913年(大正2年) 10月 甲府市より、市政への功労により表彰を受ける。
2代目穴水 嘉三郎(店主・社長在任期間:29年間 1909年~1938年)
1889年(明治22 年) 2月28日 初代穴水嘉三郎の次男として、甲府市金手町に生まれる。幼名は多七。
1908年(明治22年) 10月 県立甲府中学校を卒業後に、家業に従事する。
1909年(明治42年) 2月 多七が二十歳の時、初代嘉三郎の死去に伴い2代目嘉三郎を襲名して泉屋嘉三郎商店を引き継ぐ。
1924年(大正13年) 4月 東京に営業の販路拡大を目指して進出し、東京を本店、甲府を支店として事業の拡大を計る。
1933年(昭和8年) 12月5日 法人組織での「株式会社穴水商店」を設立して、同時に社長に就任した。
本社を品川区南品川に置き、甲府の穴水商店を支店として、組織の基礎を整える。
1949年(昭和24年) 6月28日 享年60歳で死去。
3代目穴水 徳五郎(店主・社長在任期間:71年間 1938年~2008年)
          
1907年(明治40年) 9月8日 吉野傅治(元東武鉄道(株)社長)の五男として、千葉県夷隅郡大原町で生まれる。
1936年(昭和11年) 京都帝国大学の経済学部を卒業後に、東京湾汽船(現:東海汽船(株))へ入社した。
その後2代目嘉三郎の長女芳子と結婚し、更に請われて婿養子となる。
1938年(昭和13年) 8月 東京湾汽船を退社して、(株)穴水商店へ入社と同時に3代目社長に就任した。
1957年(昭和32年) 5月 現在当社の経営基盤となっている「地域分社制度」をスタートさせ、東京:(株)穴水商店から分離独立する形で、川崎支店と甲府支店も同一名称の「(株)穴水商店」を設立して、3社とも社長に徳五郎が就任した。
1969年(昭和44年) 11月 徳五郎の出身地であり、発展が著しい京葉工業地帯工場等への商品納入を目 的に「穴水商事(株)」を設立して、4地域の独立分離体制を確立した。
1972年(昭和47年) 1月 (株)穴水商店が1872年(明治5年)以来の創業100周年を迎えるに当たり、穴水グループ4社は揃って社名を「穴水株式会社」に改称した。
甲府:穴水(株)は、100周年を記念して発祥の地に鉄筋コンクリート造3階建て新社屋の建替えと同所内SSの全面改装を行った。
2008年(平成20年) 7月 穴水(株):東京(現:(株)穴水ホールディングス)を長男の穴水敏治に託して退任し、名誉会長となる。
2008年(平成20年) 9月1日 享年101歳で死去。
穴水 敏治
相談役(4代目元社長・前会長)穴水 敏治

明治5年、山梨県甲府市で初代穴水嘉三郎が植物油、塩などの販売を目的に創業、その後時代の変化に合わせ石油製品、植物油、食品などの販売を中心に不動産賃貸業など多角化を図り今日を迎えることができました。これもひとえに長きにわたりお引き立て賜りました多くのお客様、ご指導いただきましたENEOS グループ各社、味の素株式会社をはじめとする仕入先様及び金融機関や諸官庁などのご指導の賜物と、衷心より厚く御礼を申し上げます。

同時に150年の間、その時代、時代で大変な苦労をされて今日の経営基盤を築いてこられた諸先輩社員の皆さんと現在の役職員皆さんの献身的な努力に、心より感謝いたします。

当社は引き続き200年企業を目指して、「お客様のお役に立つ企業、社会的に存続価値のある企業」の理念のもと、先人達の苦労と努力を糧に、役職員一同全身全霊を傾けて努力致してまいりますので、今後とも格段のお引き立て、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

【座談会】各事業の展望

環境・衛生事業への取組み

  • 対談者
    ライオンハイジーン株式会社 東日本営業部長 関東甲信越営業所長 桒原千明
    穴水株式会社 営業部 課長代理・生板敦史、主任・大高佑介、大河内伸浩
  • 司会者
    株式会社幸書房 田中直樹編集長
  • オブザーバー
    ライオンハイジーン株式会社 東日本営業部 関東甲信越営業所
    草間アシスタントマネージャー
    穴水株式会社 社長 穴水健治、 次長 皆川清
左から桒原、生坂、大高、大河内

過去から現在までの取り組みについて

【田中】穴水(株)が、衛生事業に力を入れて取組むようになったきっかけは、どういう経緯でしょうか。

【生板】当社は、食品卸会社と認識されているかと思いますが、2000年頃から新たに介護福祉施設などへ衛生関連の商品を紹介・提案を行ったことがスタートになりました。その後は、大手介護チェーン店や大手病院を中心に、洗剤関係・介護用品・紙類・アルコール除菌などの衛生商品を手広く手掛けてきました。

【田中】ライオンハイジーン(株)としては、今の国内での環境衛生市場の状況については、どのように捉えていますか。

【桒原】当社は、長年洗剤をメインに販売をしてきましたが、その後インフルエンザや食中毒の流行などで国民の衛生意識が高まるにつれ、品揃えを増やしていくことでお客様により良いソリューション提案が可能となりました。今回のコロナ禍で、衛生商品の需要が一気に高まり、急激な需要増に対応できず大変ご迷惑をおかけしましたが、今回のパンデミックを通じて、今後のサプライチェーンの混乱への対応策や衛生資材の需要増に対する今後のビジネス展開等を考えるよい機会となりました。

【田中】コロナ禍において、お客様と接していて新しい気づきはありますか。

【大河内】コロナ禍において、環境衛生商品の需要の高まりに合わせて一般的なマスクやアルコール類以外に防護服やフェースシードなど感染対策用の商品の依頼を頂いてました。多岐にわたる注文依頼にもある程度対応できたのは、手前味噌ですが、20年程前からこの分野に力を入れ、築いてきた土台があったからと、まだ入社3年目ですが当社の強みを肌で感じています。

【生坂】今までは主にネット通販を利用していたお客様が、リスク分散の観点から安定供給可能な地元業者に頼るケースもかなり増えてきました。ネット購買は便利さゆえに、注文が殺到したときは安定感に欠けますから。

【田中】現場の考え方やニーズが変わる中で、メーカーや卸問屋はどう変わっていけばいいでしょうか。

【桒原】代理店様が、お客様の一番近いところにいますので、私達メーカーはその声にきちんと耳を傾けて、代理店様と一緒になってお客様の要望やお困りごとに真摯に取組んでいくことが必要だと感じています。より多くのお客様に幅広く当社製品を知って使って頂くためには、やはり穴水さんのような営業力・スピード力・技術力を持った代理店様と協力しながら、共存共栄・共助の精神で取り組んでいくことが必要だと思います。

【大高】時代が目まぐるしく変わっていく中で、ただ単にモノを流すだけの卸機能では、今後生き残っていくことは難しく、常に世の中の変化に合わせて当社も変わっていく必要があります。こういう時代だからこそお客様との信頼関係・繋がりを大切にして、求められるニーズにしっかり応えていければ、より強い関係が築けると思います。

【田中】穴水(株)が、今メーカーに一番求めたいことは何でしょうか。

【生板】一都三県を中心に少数精鋭で新たなお客様の開拓を行っていますが、例えばライオンの家庭用の商品ですと“パッ”とイメージが湧きますが、“業務用商品”であると折角良い商品であるにもかかわらず認知されていない商品も多く、そういうところを私達が積極的にご提案して商品の良さや特徴を伝えていきたい。ただ、お客様の視点からしますと、価格や物流ですとか、購入する上でのハードルもありますので、そういったところを一緒に乗り越えられたら良いのではと強く思っています。

これからの環境衛生分野の将来性について

【田中】今後の取組み課題やビジネス戦略について聞かせて下さい。

【桒原】コロナ収束以降は、人々の衛生に対する意識はより高いものになっていくと感じています。それに応じられるように私達も日々勉強して、対応できるレベルにしなければいけないと考えています。特に、2021年6月から完全義務化となった“HACCP”については導入、運用に備えて、飲食店・福祉施設向けに、当社独自の衛生システムを用意しています。今後、当社としては衛生の分野でどれだけユーザー様のお役に立っていけるか、今まさに正念場に来ていると思っています。
※HACCP(ハサップ):危害要因分析必須管理点

【大高】今は“SDGs”や“ESG”の流れの中で、特に環境保全に努めているメーカーの商品を提案してほしいというニーズが増えてきました。普段から社会貢献や社会の課題解決を意識していくことで当社の社会的立ち位置を堅固なものにしていけると思います。
※SDGs:持続可能な開発目標、ESG:環境・社会・ガバナンス【大河内】今までは、食品でも衛生商品でもお客様が要望す商品の提供だけに留まっていて、営業面で環境を意識した提案が強く出せていませんでした。今後は、ただ商品を売るだけでなく、社会環境を意識した営業を続けていく必要があると思います。

【田中】ライオングループではESG やSDGs の取組みを熱心にされていますが、穴水さんがこうした考えを持ってビジネス展開を進めていることを、どのように感じられますか。

【桒原】当社もライオングループの環境方針に沿って脱炭素・資源循環型社会の実現に取組んでおり、例えばプラスティックごみ削減に対応した容器や、製品の濃縮化・容器のコンパクト化など環境を重視したモノ作りができるよう心がけています。環境への取組みは待ったなしですね。穴水(株)の営業の皆さんが、環境保全を意識して動き始めていることは本当に素晴らしいと思います。

【田中】お客様との今後の向き合い方について、何か考えはありますか。

【大高】単純にお客様から求められたものだけを提案するのではなく、他社との差別化をどのようにしていけば良いかを常に考えてきました。私が入社して暫くしてから、当時の営業部長に「コンサルティングの営業を心がけよ」と言われたことを鮮明に覚えています。それからは、お客様のお困り事を常にヒヤリングして、直面している課題を解決できるような提案を行ってきました。今、その考え方がとても活きています。

【田中】今後の成長性をどこに求めていけばよいでしょうか、卸問屋に求められる役割はなんでしょうか。

【生坂】卸問屋に求められている役割は、お客様に身近な立場でご要望の商品サービスを、絶え間なく供給していくことが使命だと思います。その中で、当社の武器としては適正価格での商品提案・納期の早さ・安定供給・品揃えの豊富さなどを組合せて、当社の取引メリットを感じて頂ければと思っています。私達も、お客様と単に取引するだけではなく、社会や地域全体への貢献も強く意識しながら商売に広がりを持てればと思います。

【田中】ライオンハイジーン(株)としては、この衛生分野にどのような期待をもっていますか。

【桒原】今回のパンデミックを通じて、人々の衛生意識の高まりは益々強くなりました。2025年、2030 年、2035 年問題とよく言われますが、この問題の大部分が高齢化による人手不足と言われています。当社としても、今後の時流に合わせて省力化できる洗剤の開発や作業効率化につながる商品開発にも力を入れて、より良い商品を提案できるよう努力します。

【大河内】介護の現場などで人手不足の問題は、常日頃から見聞きしています。これらの課題解決につながる商品であれば必ずお客様に喜んで頂けるはずです。私達も少しでも省力化や作業工程の簡略化も含めてお客様にあった提案、つまり付加価値的な部分をお客様と一緒になって考えるようにしています。

【田中】環境衛生ビジネスは、穴水(株)の中でも成長事業に育っていますので、メーカーと一緒に相互に盛上げて、お客様のお役立ちを極めていけることを祈って、最後に一言ずつお願いします。

【桒原】穴水さんとは今後も良きパートナーとして共に成長できるように、当社も穴水さんやお客様から信頼され、選ばれるメーカーとなるべく鋭意努力していきます。今回の対談を通じて、改めてその想いが強くなりました。

【生板】今現在、年間で100 件以上の病院や介護施設様を開拓していますので、この良い流れを維持しながらしっかり足固めをしていきたいです。

【大高】今後も、少数精鋭ながら守備範囲が広い、小回りの利く営業を目指していきます。この環境衛生事業を、次世代へきちんと残していけるよう全力で頑張ります。

【大河内】当社もメーカーも目指す方向は一緒ですから、互いに協力し合い・助け合いながらお客様も含めて、win-win-win の関係が構築できるよう引き続き取組みます。

座談会メニューへ戻る

潤滑油技術と役割について

  • 対談者
    ENEOS 株式会社 潤滑油カンパニー・潤滑油販売部長 吉森康陽
    穴水株式会社 ルブマイスター・櫻井康晴(エネルギー事業)、今沢伸二(山梨)
  • 司会者
    ENEOS 株式会社 広報部・広報グループ 辰田詩織
左から吉森、櫻井、今沢

カーボンニュートラル時代における
潤滑油技術・役割について

【吉森】ルブマイスターの皆様、こんにちは。ENEOS 株式会社・潤滑油カンパニー・潤滑油販売部の吉森でございます。この度は、御社・創業150 周年を迎えられたとのこと、誠におめでとうございます。古くは日本石油設立からの長きに渡りお付き合いをいただき、誠にありがとうございます。また潤滑油事業に関しても古くからご尽力をいただいていることに感謝を申し上げます。
今回は、記念すべき150 周年を迎えられ、社史を作成するとのことで潤滑油事業に対する取組みについて貴重な対談の機会をいただいたことは大変有難く、弊社を代表して御礼申し上げます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

現在の当社潤滑油販売に関する取組みについて

【辰田】ルブマイスターの皆様から、現在の潤滑油事業に関する取組みについて、ご説明をお願いします。

【櫻井】普段は、千葉県内を中心に活動しており、その半数がモノづくりの現場そのものである金属加工業の取引先様です。潤滑油の使用を通してお客様からは良い製品を作るためのトラブル改善や性能向上を期待されています。私個人としては、過去に金属材料商社で営業をしていた経験と石油業界に入ってから得た潤滑油や金属加工油の知識、当社の強みであるオイル交換作業、廃油回収までのスキーム提案でそのようなお客様の信頼を得られるよう、日々活動を行っています。

【今沢】「常にお客様と地域社会のお役に立つ」この理念の基、私どもはお客様のお役に立つこと目的とした仕事をしています。そしてその日々のお客様へのお役に立つことの積み重ねが地域社会のお役に立つことにも繋がると考え、日々仕事をしています。お客様の求める価値に対してしっかり提案ができるかどうかはとても難しいですが、先入観を持たず傾聴し、お客様のお役に立てるスタイルを貫けるよう力を発揮していきたいと思います。

【吉森】さすがですね。ルブマイスターのお二人のお話を聞かせていただくと、お客様の立場になって解決策を見出していく姿勢に頭が下がる想いです。潤滑油販売のミッションは、お客様の困った探しをして、その困ったを解決するといったことをサイクルとして回していくことが重要なことであり、長きに渡って御社が取り組まれていることが実績として評価されていると思います。

【櫻井】弊社事業の歴史を振り返ると、京浜・京葉工業地帯を中心とした各種製品への製造に関わることで成長してきた部分も多く、特に東芝グループへの冷凍機油開発の取組みについては、ENEOS の開発力なくしては成り立たない事業でもあり、弊社の潤滑油販売の大きな柱になっています。

【吉森】商品も当然ながら重要ではありますが、御社がお客様との関係性をしっかりと構築していることがあってのものであり、商品を通して御社とお客様のパイプが強くなっていることが今に繋がっていると感じています。御社が現場と関係性をしっかりと構築されていなければ、事業としては成り立っていなかった可能性は十分にあります。潤滑油の開発においては、原理・原則に基づいて商品開発してほしいと言われることが多く、製造メーカーとしては、どういう事象がミクロで起きているかをみて開発することが重要です。その開発商品がお客様のところである現場・現物としてお届けした時にうまくマッチできるようになれば、潤滑油ビジネスとしては非常に良い形であると思います。これが本来の潤滑油ビジネスでの面白さでもあると我々は思っています。潤滑油ビジネスでは、ピンチとなる局面もありますが、裏返せばそれはチャンスでもあります。お客様・御社・ENEOS と三位一体での取組みを欠かすことなく実践していくことで、問題を解決することが出来ることが潤滑油事業の大きな強みでもあり、現場に寄り添って現物を見て判断していくことが重要なことであると感じます。

【吉森】コロナ禍での状況において、お客様の状況に変化はありましたか?

【櫻井】2020年の春先は、製造業全体というか社会活動全体が止まったことによる影響もありましたが、その後早い段階から製造業の稼働が回復してきたこともあり、状況を見ながら工場を訪問したり、生産動向を確認させていただくなど、競合他社に入り込ませる隙を与えないように活動・情報収集をしていました。

【今沢】緊急事態宣言中は、訪問お断りの会社さんもある中、末端に近い製造業は大部分が稼働していたこともあり、現場へ足を運ぶ機会は大きく減りませんでした。現場では、コロナ対策も重要ですが、サプライチェーンを途絶えさせることなく社会的ニーズを満たす必要もあるため、現場の声に応えられる活動をしていました。

【吉森】普通は、必要な時に声掛けるからと言われがちですが、御社の場合はしっかりと現場に入り込んでいることで関係性を強めている何よりの証ですね。

ルブマイスターに関する事項について

【吉森】ルブマイスターになる前と後では何か変わることがありましたか?

【今沢】期待されることが多くなったこともあり、勉強することが一層増えて、視野が広がったように感じます。全体を俯瞰して見れるようになりましたね。

【櫻井】今までは慣れもあって、感覚的に発信をしていた部分もありましたが、ルブマイスターの認定を受けたことで、より専門的な解答を用意して話をできるようになりましたね。

【辰田】ENEOS として、ルブマイスターに期待することは?

【吉森】商品知識を深く習得してもらうことに重点をおいていましたが、最近はプレゼンテーション能力や要点をついた文章力を身に付けてもらうことも期待しています。ルブマイスターの皆様には潤滑油販売のコアになっていただくことが一番であり、それが先程の三位一体の関係性をより強固にしていけるように機能させていきたいと考えています。

【今沢】製造業のお客様がよくご覧になる日刊工業新聞に掲載されることでお客様に自分がルブマイスターだと知ってもらうこともあり、非常に有難い限りです。

【櫻井】新聞掲載には、「プロ中のプロ!」という表記があり、身の引締まる思いです。期待されることも多いですね。

【吉森】特約店さんが現場サイドから期待されているということは我々にとっても大きな意味のあることであり、それぞれの特約店さんの潤滑油事業での現場力の高さは、我々としても特約店さんと目指している姿そのものです。

【櫻井】ルブマイスター会は、全国各地の最前線で活躍し高い視座を持つセールス会でもあり、その点においてJUMP 会とは異なったレベルでの情報交換ができるため、更に知見が広がります。

【吉森】お二方共、JUMP会の会長などを歴任されていますが...会を纏め上げることは今後の会社生活の中では貴重な経験として活きることがたくさんあると思います。このような過去からの経験が御社の創業150 年続いている力になっている秘訣でもあると思います。

【櫻井】実は、JUMP会の前身であるNSECの発足の経緯は、当社の先輩方が潤滑油販売をするには専門知識を持ち合わせて取組んでいくことが重要だと判断したことで、当時の電機メーカーの技術部隊の勉強会に参加して研鑽を積んだ経験から石油メーカー内でも知識向上の機会を作り、プロ集団として臨む体制を構築する制度作りを当時の支店に働き掛けたことがきっかけだったと聞いています。

【吉森】今後も時代に合った形にしながら、御社がきっかけを作っていただいた本制度を充実させていきたいと思っています。また技術力に加え、ルブマイスターの方々にはマネジメント能力や周囲を巻き込みチームを纏めていく力をつけてもらうことがご自身の幅を広げることにもなると思いますし、潤滑油販売の販路拡大にもなっていくこととも思います。

潤滑油性能・環境側面に関する事項について

【辰田】ここ最近では、環境変化が激しくなってきている現状で、感じていることはありますか?

【今沢】カーボンニュートラルや脱炭素と頻繁に謳われる時代になってきていますが、潤滑油事業も社会を取り巻く環境変化への対応が求められており、お客様から事業所ごとの省エネ法、消防法や労安法、廃棄物法など、各種法令についての対応策のご質問をいただく機会が多くなってきています。ENEOS 製品は、先駆けて高性能・高効率化・環境性・耐久信頼性といったキーワードを網羅しており、お客様の多種多様な要求に対して技術的にも認知される商品となっています。私どもは、日頃からアンテナを高く張り、多方面の情報をいち早くキャッチし、真摯に取り組むことでお客様や社会が何を価値としているのかを常に感じ取らなければいけないのだろうと思います。

【櫻井】自動車の電動化や省エネタイプの機器が今後は益々増えてくることは間違いがなく、環境配慮の対応も一層強くなってきます。省エネ・省燃費・環境性能に関しては、ロングライフの商品になりがちで、販売ボリュームが減る見通しではあるため、お客様に合わせた提案や付加価値を付随させた取組みが必要になってくると感じています。

【吉森】10 数年前までは、確かに省エネ・省燃費ということが重要視されていた時代でありました。世界の潮流はEV を進めているし、中国や欧州諸国などはその流れが一段と加速しているのは事実です。国内に目を向けると、ホンダさんはEV 化を目指すと言っています。一方、トヨタさんはゴールがEV ではなく、達成しなければならないのはカーボンニュートラルであり、その一つの手段がEV 化であり、HV・FCV・水素エンジン車という選択肢を増やしながら対応し、トータルで見た時にカーボンニュートラルが達成できるかを見据えています。我々がきちんと市場を見つめ、見極めなければいけないことは、世の中が本当にどういう方向に進んでいくのか、また潤滑油のリーディングカンパニーとして日本が進んでいく方向性です。2030 年・2040 年に向けて我々がどういったサポートをしていくべきか、その中で自分たちがどう生き残るべきかを考えていくべきであると思います。潤滑油は間違いなく何らかの形で残っていきますが、例えばエンジン油として残るのかグリースとして残っていくのか等市場を見据えていち早くお客様の声を聞きながら対応していくことが重要であり、引続き皆様に情報を集めてもらうことは欠かせないと思っています。

【辰田】お客様対応として「こういうのがあったらいいな」などはありますか。

【吉森】今までは省エネ・省燃費という考え方でしたが、今後は二酸化炭素の排出を抑えることが大事になってきます。環境意識が高まってくる業界については、いち早くCO2排出を抑えることが大きなポイントになります。また、廃油の回収等も含めて、再生基油やリサイクルでCO2 排出を抑えることも研究課題の一つであると考えています。10 年というと大きな変化は感じないかもしれないが、20 年というと大きな変化が社会の中で起きていることが実感できるはずです。今後は間違いなく自動運転の技術は上がり、事故が無くなり板金やリペアというような需要が減ってくるかもしれません。今後の時代の背景を見据えた取組みが重要になってきていると強く感じます。

今後への取り組み

【櫻井】今後は時代の移り変わりも激しく、モノづくりの現場で求められることも変わってくることもあり、CO2 排出量を数値化して見せられる営業活動や、新しいやり方も見据えながら対応することが必要だと感じます。工場管理についても人手をかけない、もしくは、コロナ時代のように人手をかけられない時代に対応する方法としても我々が工夫をしながらお客様に寄り添っていくことも考えていかなければならないと思っています。

【今沢】今までは経験や感覚でやっていた部分が多かったですが、ルブマイスターを取得したことで意識が変わり、社会的ニーズに対応できるようお客様の要望に沿った仕事をすることが必要だと思います。

【吉森】不透明さや世の中が変わるスピードがものすごく早い時代において、長年の潤滑油に関する取組みや考えを体現してくださっているのが御社であり、今後も時代を先読みしながら共に協力し、潤滑油事業を強くしていきたいと思っています。今後ルブマイスターのお二人には、一層の期待をしておりますし、穴水さんの社員お一人お一人が力を発揮してもらって、お二人が社内においても今日のことを多く伝承していくことで、御社の益々のご発展を祈念しております。

ルブマイスターとは
ENEOS が自信を持って認定する、“プロ中のプロ”。
ENEOS 特約店潤滑油セールスの販売力強化支援を目的として、2009 年度よりルブマイスター認定制度を導入。
「ルブマイスター」とは、潤滑油販売に求められる最高水準の知識・ノウハウを習得したセールスのみに与えられる称号で、ENEOS の専門知識、保守管理手法、提案型販売の実践スキルなどについての研修をすべて修了し、年1 回実施される認定試験に合格した者のみをルブマイスターとして認定している。
【弊社ルブマイスター認定者:櫻井康晴(2015 年取得)、今沢伸二(2020 年取得)】

座談会メニューへ戻る

コーティング技術への取組み

  • 対談者
    KeePer技研株式会社 代表取締役社長兼CEO 賀来聡介
    穴水株式会社 エネルギー事業 上富士前SS店長 宇佐美智義
    穴水株式会社(山梨) Dr. Drive向町店店長 武井征矢
  • オブザーバー
    穴水株式会社(山梨) 代表取締役 西川一徳
    同 SSGr. 課長 小林直樹
左から賀来、武井、宇佐美、西川

熱意と技

【西川】本日は、キーパーコーティングについて対談したいと思いますので、よろしくお願い致します。
まず、KeePer技研(株)の創業者である谷会長の「洗車を労苦でなく、お客様の喜びに変え、私たちのやりがいであるビジネスに高めるために」というメッセージがあります。弊社が、キーパー施工を始めたのもまさにこれと同じ思いでした。20年近く前を思い起こすと、当社も無料の洗車が多く、体が疲れるだけで、やりがいも何も感じない状態でした。そのような状況の中で考え方を改め、洗車に対して正当な対価としての料金を頂けるように方向転換することにしました。また、ちょうど発売初期の快洗ウイングを導入してやり始めると、手洗いの方も徐々に伸びていき、更にはコーティングをもっとやろうという話になりました。きちんと料金を頂いて、お客様にも喜んで頂き、スタッフもやりがいを感じるということを目指すようになりました。また、KeePer技研の皆さんが非常に熱心で、その熱が伝わってきたことを覚えています。

【武井】そうですね、私が入社してすぐの頃でしたが、KeePer 技研の皆さんは本当に熱い人だなと感じました。私自身も刺激を受けて「やるぞ!」と気合を入れ、初めてコーティングをした時には自分の手でこんなに車を綺麗にすることができるのだと感動した記憶があります。それからコーティングにやりがいを感じて、継続してやっていくようになりました。時には、「僕のやった施工が一番綺麗だ!」(笑)と思って、すごい自信がついていったことを憶えていますね。

【賀来】うちの社員のことをいろいろ挙げて頂いていることは、本当にありがたいです。私が今までに言い続けていることは、とにかく皆さんのようにキーパーを導入しているお店が成功することです。取組みを成功させるには、店舗として成功するまで熱を入れてやるしかありません。私達の仕事は何か物を売るとかではなくて、技術力を売りに、本当にお客様が喜んで満足してくれているかどうかということです。目の前でお客様が喜んでいただいた姿を見ることでお店のスタッフの方々もやりがいが出ると思います。また先程、当社の社員に育てて頂いたと言われましたが逆ですね。逆に皆さんに、時には褒められ、時にはお叱りを受け、たまには遅くまで飲み明かして、一緒に成長させて貰っています。今は、新型コロナ禍ですが、今日はこういう対談ができたことは嬉しいですね。

【宇佐美】キーパーコーティングの良さは、全てがパッケージ化されていることですね。いい加減な洗車やコーティングではなく、“きちんとしたルールに則って、全員が同じ品質で仕上げられる”ようにならないといけない。そして、お客様に喜んでもらうためには、求めているものをどう自分たちが提供できるかということを考えます。お店や施工した人間はお客様と繋がっているので、自分自身が技術的に成長できたなと思っても、それと同時に“お客様の求めるレベル”も格段に上がっていく。それを解決するために課題を見つけて「どうやったらこの傷が消えるかな・汚れが取れるかな」と考える。そういったところまで追求し、技術力を徹底的に磨き上げるようになって、ただ言われてやるだけじゃなくて、自分たちできちんと考え、どうしたらお客様が喜ぶかを考えて動けるようになりました。キーパーは、会社としても、人としても全て成長に繋がるところで、大きい存在だなと感じています。

【賀来】やればやるほど面白くなってきて、技術の向上に終わりはなく、更に進化をしていきます。そして、ユーザーのニーズも進化していて、そこについていかなければならないなと思っています。やはりキーパーは技術力ですから、ある意味全部技術力が解決しちゃうみたいなところがあるので、“うまくやれているところ(店舗)”と“やれてないところ(店舗)”がありますね。今、技術力を徹底的に磨き上げるっていう話をされていましたけど、それはどうしてできたと思われますか?

【小林】“熱意”ですね(笑)。

【宇佐美】“マインド”の部分が大きいです。今までできなかったことが、次回以降できるようにするためには、どうすれば良いかを自分で考えて動くことです。

【武井】やはり1番は、お客様に喜んで貰いたいから、誰よりも上手くなりたいと思いました。そして、SSの沢山ある商品の中で、誰にも負けないものは何かって考えた時に、やはり“洗車とコーティングだ”と思って、力を入れてきました。それでキーパー技術コンテストがあったので、「ちょっと目立とうかな」と参加して技術を磨きました(笑)。

【賀来】武井さんの店舗の皆さんは技術力が高いですよね。

【武井】1~2年目の若い人が多いですが、かなり上手になっています。

【賀来】店長が、率先垂範して一番高い技術力を持ったのがポイントなのでしょうね。口だけで「お前やっとけ」と言っても人は動かないし、店長が自ら技術コンテストに出て部下に背中を見せる。あと熱意ですね。

【宇佐美】私も店長だからと何かを言うのではなく、「当たり前のことを当たり前にやろうよ」と、まず自分から動きます。“当たり前のレベル”が低かったら技術は上がってこないので、その当たり前のレベルの“最低限のレベルは高めに設定”して、それが出来るようにしようということを徹底し、その上でどうしたらいいのか、やらない人にはどうしたらやって貰えるのかということを、話合いながら進めてきたことが大きくありますね。そういった意味でそこが熱意なのかなと思います。幸いなことに、できないことがあるとどうやったらできるようになりますかということを言ってくれる若手たちが増えたので、お店の成長を実感していて、結果的にそれがお客様の笑顔に繋がっています。

【武井】「自分に任せて貰いたい」や「上手くなりたいから技術を教えて下さい」というスタッフが増えて、技術コンテストを目指す人が増えてきています。

【賀来】やはりキーパー技術コンテストを開催するようになってからプロショップさんの技術力は格段に上がり、施工台数も増えました。

【武井】やはり、より上を目指すようになったのは、コンテストに出てからですね。最初は、結果が出ずに悔しかったですね(笑)。

【賀来】皆がどんどん上手くなっていきお客様の車を綺麗にする技術を上げるのが目標になってきて、コンテストが甲子園みたいになってきていますからね(笑)。

【宇佐美】コンテストの結果は、その裏づけになります。やはり自信がないとお客様に商品を説明する際に、声が小さくなってしまう。自信を持って「大丈夫ですよ、ここまで綺麗になりますよ!」って言うことは、自分に裏付けがないと言えないので、そういう意味でのキーパー技術コンテスト参加は大切だと思いますね。

【西川】女性の参加者も多いですよね。

【賀来】やはり女性が活躍できる職場ということは、すごく大切なポイントだと思うので、そういう意味ではいいですよね。いろんなスポーツで男性と女性が同じ競技で競うというのはあまりないですからね。

未来へ

【西川】今後KeePer技研は、どのような方向に向かっていくのか教えて下さい。また、我々でもできることがあれば教えて下さい。

【賀来】今、考えているのは、新型コロナ禍になって、世の中が劇的に変化しています。変化というのはある意味でキーパーにとっては良い方向です。コロナ禍において、社会全体として清潔にしたい欲求が大きくなった。それも身の回りものを、とにかく清潔にしておきたいっていう欲求が出て、車を綺麗にしようっていう需要が出たりとか、やはり不景気風が吹いて、やはり車ももうちょっと乗らなければいけなくて、乗るからには綺麗にしておこうとか、そういう需要があったりとか。あとは、今まではSSで売っている安いコーティングというように見られていたのが、EXキーパーが出たことによってイメージが変わってきています。YouTuberが取上げてくれて、一気にそれがワーッと広がったということもありました。多くのお客様が、YouTubeの動画を見て来店するため、求められているハードルが上がり、キーパーは技術力を磨き続けなければならなくなりました。あとはハード面ですね、お客様が設備をすごく意識しています。以前ですと快洗7とか、快洗ウイングがあって、いわゆる洗車の高品質な機械が売りでしたが、今はどちらかというとコーティングブースの方に移ってきています。やはり密閉された空間で、正しいキーパー技術があるところでやりたいという要望がすごく広がってきています。もう一つは、集客・接客方法です。今までは、チラシや新聞折り込みがメインでしたが、時代の変化と共に告知する媒体も傾向が変わってきており、今後はいかにWEB 上での告知を強化していくのかが課題です。来店頻度・購買件数・購買年齢・性別・リピート率の調査によると、需要と供給のバランスが全く合っていないという結果でした。需要が大きいのに供給が足りてないという結果だったのです。ですから、このビジネスは相当マーケット濃いぞと感じていまして、まだ5年、10年は続くだろうなと思っていますし、グローバルでもやれるだろうなと思っています。これだけマーケットがあるので、皆さんと一緒にやっていけると嬉しいです。しかし、常に時代は変化しているので、以前のようなことをそのままやっていても、上手くいかないことは出てくるのではないでしょうか。

【宇佐美】当店も予約の半数はWEBから入るようになっています。もう不特定多数の人がいつでもどこでも入り口として入れる場所なので、その取組みが遅れていると、どんどん取り残されてしまいますので、これからも時代の変化に対応していきたいと思います。

【武井】コーティングブースも魅力的です。お客様へのアピールにもなりますし、なにより安心感を与えることができます。今後も技術力を磨いて高みを目指したいと思います。

【西川】キーパーコーティングの話になると皆さん話が尽きませんが、本日はご多忙の中、どうもありがとうございました。

座談会メニューへ戻る

PageTop